| MFC6年生の皆さん。札幌遠征を控えて熱心に練習しているかな?
僕もワールドカップで優勝できたし、個人でも通算最多得点を記録できたので、とても満足している。
君たちも今後の大会でいい結果が残せるよう頑張ってくれたまえ。
さて、今日はサッカーという競技の本質の話をしよう。
最近、「自分たちのサッカー」という言葉が君たちの代表の間では流行っているようだが、正直僕には理解できない。もちろん、こういう組立をして、ここで、こんなタイミングでこんなボールをこの辺に入れて....みたいな共通理解というのはあるさ。でもワールドカップでも、僕たちも対戦相手もそんなことができた場面は少なかった。だって、お互い相手があることだから当たり前。相手の出方に合わせて変えざるを得ないものだし、変えていかないといけない。それは勝ち負けに関係なく、サッカーを楽しむためにも必要なことだと思うんだ。サッカーは「相対的」なスポーツ。自分たちの理想はあっても、相手やコンディションによって、変わること・変えることが当然の競技なんだということを憶えておいてくれたまえ。
では、そういうものだとしたら、試合中に君たちははどうしたらいいんだろう。サッカーには作戦タイムもないし、コーチの指示だって止まって聞いてる暇もない。
試合で狙ったことが通用しなかった時、予想とちがうことが起きた時、何か問題のあった時には、僕たちは気付いた人が、すぐに近くのチームメイトとまず話をするようにしてたんだ。そして、自分たちでいろんな修正やトライをしてたよ。コーチには外から見ている視点があるけど、ピッチの上で実際に相手のスピードやプレッシャーを肌で感じているのは僕たち選手だし、仲間のコンディションを間近に見ているのも僕たち選手だからね。それにその方が、うまくいった時にもうれしいからね。
ピッチ上のことは、まず選手が決めて解決する。そういう気持ちで闘ってくれたまえ。このことを僕は選手の「集団的自営権」と呼んでいるんだ。君たちの国の首相が似たような用語で物議を醸していたっけ?
君たち小学生は、ハーフ20分しかないから、ある意味僕らよりもっと早く修正しないといけないね。うまくいかない時、仲間を怒鳴って鼓舞するんじゃなく、ひとりこっそり何かをたくらむんでもなく、冷静に考えたことをわかりやすく仲間に伝えて説得する。ちょっと難しいけどいいサッカー選手になるための必要条件だ。
僕の「押し入れ」にしまっておこうかと思ったけど、きっと君たちが札幌で遭遇する場面で役に立てばと思い教えてあげたくて、書き込んでしまった。断っとくけど、世界じゃ通用しない用語だよ。
では、いい成績を期待しているぜ。
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