私共の現中3の選手である仲村京雅を、年度途中である7月にジェフ千葉に移籍させることにした。彼自身が「24年4月よりジェフ千葉ユースに進むと決断した」ことを受け、昨日の敗戦でクラブ選手権も終わり本日7月11日に登録を抹消することにした。彼が春からジェフ千葉ユースに進むことを決断後、「今後の練習参加どうしましょうか?」とジェフの茂垣君から連絡があった。「今はクラブ選手権中だからVIVAIOとしては無理だけど、クラブ選手権が終わったら移籍できないの?最後の大会の高円宮杯の経験と、ジェフユースの経験では比べ物にならないでしょ。朴さんに聞いてみてよ。ジェフ側の都合もあると思うから。」「いいんですか?高円宮杯?」「全く問題ないでしょ。」という会話があった。ジェフ千葉がクラブ選手権で敗戦後、中3段階での移籍を準備していただけるとのお話をいただいた。練習会に声をかけていただいたサンフレッチェ広島ユースや横浜マリノスユースの方々、特に2年次後半より熱心に誘っていただいたFC東京ユースの方々には心から感謝している。 ジュニアから縁のあった選手が、小6の時にJ下部組織を受けなかった。その段階で、複数のJ下部に合格する力があったが、VIVAIOジュニアユースでサッカーがしたいというのが、選手の希望だった。あれから2年4か月後、今度は私共クラブから「VIVAIOを辞めて、すぐに移籍したらどうだ」と背中を押した。「3年最後の食事会には呼んでやる」その程度の会話だったと記憶している。ジュニアユース以降、日本のシステムはステップアップすることも、自分の力量にあったチームにステップダウンすることも少ない。いわば3年契約なのである。この10年、他チームで若干名のステップアップ移籍があったが、常態化するまでには至っていない。今の日本の登録制度は、中学3年間、高校3年間という期間が決まっている。成長著しい選手が更にステップアップできる環境にはない。ジュニアユース年代は、まだクラブチーム間による移籍の可能性があり、将来当たり前の環境になることを期待している。しかしながら高校年代は、学校チームが多いため学校間の転校などよほどのことが無い限り難しく、中3時の進路によっては可能性のある選手にチャンスの少ない国であることは間違いない。サッカーという競技は、移籍は当たり前の事。掲示板に、「取られた」「引き抜き」等と選手側の視点に立てない大人が騒ぐこともあるが、今回の事象で私共がVIVAIO船橋の結果という小さな集団の事を最も大切に考えているのではない、ということが多少なりとも周囲に伝われば良い。何を言っても、分からない大人には分からないが(笑)。クラブとして高円宮杯には全力でチャレンジしていくが、彼の人生を考えた時にできるだけ早くユースの環境に身を置かせようという決断に、クラブとしての迷いはなかった。 残念ながら日本では、ジュニア年代からトーナメントでチームの勝ち負けを決める。負けたくないから、「負けない方法」や「勝ちやすい方法」を大人が低年齢から教えてしまう。「個」という視点ではなく「チーム」の結果を求めることで、「選手個々を見た時」年齢を重ねるごとに厳しくなる現実がある。雑誌やメディアが取り上げるのは、結果が出ているチームが多く、チームの結果以上に、選手の可能性を高めている少年団に視点が当たらない国となっている。小さな少年団や、お父さんコーチのチームから良い選手が出たら、Jチームから選手育成金やサッカー用品が贈られるような国にしなければ、いつまでたっても末端の価値観は変わらない。末端の価値観が変わらなければ、多くの選手の可能性を広げることは到底不可能であり、子供の数が減り他競技と選手獲得の厳しい競争時代を迎えたら、「サッカー」という競技が右肩上がりに進む保証はない。私たちの次の世代の頃には選手の移籍に対して「移籍金」が発生できるほど、各Jチームが財政的に潤い、老若男女サッカーを愛する人が増えていることを期待している。つい先日J2とJ1のゲームを観戦した。全くワクワクしなかった。サッカーに興味が無い人が観戦しても、また来たいと感じるようなゲームでなければ、駄目なのではないだろうか?今は全く厳しい。 千葉県がアカデミーという新たな枠組みをつくろうとしている中、ジュニア・ジュニアユースの現状を全く知らない人間が机上の空論を持ち出し、いちクラブの利益・不利益という小さな話題が持ち上がることもあった。小さな話だ。本当に話題が小さい。サッカーという世界と戦わなければならない競技の、私共の位置している末端は、大人のレベルが低く、子供たちや選手を取り巻く環境は、とても世界に追いつかない。今後も、このような選手の移籍が当たり前になる時代が来ることを期待している。仲村には、他の選手同様「教え込み過ぎず」「良さを消すことなく」環境だけを用意してきた。プロに近い環境で、どれだけ可能性を広げることができるか、チャレンジすれば良い。他の仲間たちは、慌てることなく日々を大切に過ごして行けば良い。 千葉県が本当に厳しいということを、8年も前から通信を通して警告してきている。4種・3種は相変わらず厳しい、2種はついに「イベント屋」が千葉県を支配するようになってしまった。私のつたない経験を通して、会議や話し合いの中で方向性の間違いを指摘しても「心底聞く耳はない」ようだ。国体終了まで高校の人事は凍結されていた。国体が終了した今年の3月、主要高校の人事は凍結されたままだったことは周知の事実。何故人事が動かないのかお分かりだろう、人材がいないのだ。今回の件で、U-14年代から、J 下部の真剣なスカウティングが始まっていることを感じた。あるJクラブがU-13年代にまで仕掛けをしてきている。当たり前と言えば当たり前の話。さて、スピードを増して変化している流れを感じることができなければ、時代に取り残されてしまう。気が付いた時には、水の流れを変えることはできないものだ。 最近、残念ながらU-13のリーグ戦が始まった。「勝ち?負け?」が大切?。私共のVIVAIOという環境に足を踏み入れて4か月ちょっと。自分の息子を見て、チームという集団を見て大人が成長してほしい。自分の息子が好きなのか?サッカーという息子が選んだ競技を好きになれるのか?その差は大きいものだ。小さなことにとらわれていると、大切なことに気が付かない。これは、この場で言い続けていること。チームとして上手く行く時も、行かない時もある。U-15の関東大会では、アントラーズに4-1アントラーズノルテに2-3三菱養和巣鴨に1-6。スコアーでこそ大差のついた養和戦は、VIVAIOらしかったと思う。 駒澤大学の林堂が活躍している。明治大学の野間も大学選抜でヨーロッパに行ってきた。仲村が中3でジェフユースのゲームに出る機会があれば、皆で応援に行こうと思う。その姿を見れば、手元にいる仲間たちも更にモチベーションを上げることができるだろう。最後の大会前にチームのキャプテンを移籍させた。次のトレーニングで新しいキャプテンを選手達に決めさせるとしよう。さて、誰になるのだろう? (渡辺)